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日本のFIT・FIP制度は、バイオマス燃料の持続可能性の証明を「認証」に過度に依存しています。SBPは、燃料のライフサイクルGHG排出を確認できる第三者認証として既に認められており、今後、燃料の持続可能性(合法性)の確認方法としても普及すると見られます。
本レポートは、カナダのペレット工場のケーススタディも踏まえて、現地で広く用いられている「持続可能なバイオマスプログラム(SBP)」の問題点を解説しており、FIT・FIPの早急な見直しに向けて、極めて重要な分析を提供しています。
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Executive summary
• 森林バイオマスは、燃焼させて熱や電力を生産する際に気候、生物多様性、人々に悪影響を及ぼすことが明らか
になっているにもかかわらず、EU、英国、日本、韓国のエネルギーミックスにおいて相当な割合を占めている
• 補助金を交付するバイオマスが「持続可能」であることを示す証拠を各国政府が求めるなか、業界は「サステナ
ブル・バイオマス・プログラム(SBP)」を創設した。SBP は、バイオマスエネルギーの自主的認証制度として
最も広く用いられている
• しかし SBP は、他の森林認証制度に頼り、現地監査を行わずにペレット工場を認証し、欠陥のある炭素会計に
乗じることで、多くの場合、 バイオマスをグリーンウォッシュしており、結果として「持続可能な森林管理(SFM)」
の基準を引き下げている
• カナダ・ブリティッシュコロンビア州およびアルバータ州にある、 SBP 認証を受けたドラックス社のペレット工
場は、老齢林を含む原生林から原料を調達しているが、 SBP の不十分なリスク評価と軽減措置によりこうした調
達が容認されており、野生動物の生息地の劣化と炭素排出を助長している
• 各国政府は、森林バイオマスの影響を認識し、関連する補助金を廃止し、自然林や原生林景観の保護を強化し、
すべての木材取引にデュー・ディリジェンスを義務付けるべきである



