2026年3月13日(東京)
気候ソリューションズ(SFOC)は本日、ホルムズ海峡の緊張を背景としたエネルギー市場の混乱と、日本のエネルギー安全保障への影響を分析した最新のイシューブリーフ「ホルムズ海峡の封鎖日本のエネルギー供給網における構造的脆弱性の露呈」を発表しました。本ブリーフは、輸入化石燃料への依存が日本のエネルギー安全保障の構造的リスクであることを示しています。こうした依存低減が長期的な安定につながります。
主なポイント
· ホルムズ海峡の緊張は、輸入依存度が高い日本のエネルギー供給網における構造的脆弱性を改めて浮き彫りにした
· LNGおよび原油市場の混乱により、国際エネルギー価格が急騰し、日本経済にも影響が波及
· 長期的な化石燃料への投資が、日本のエネルギー安全保障のリスクを固定化させる可能性
背景
中東地域で緊張が高まる中、ホルムズ海峡を通過する海上輸送に混乱が生じ、国際エネルギー市場は大きく動揺しています。LNG輸送船の航行停止や原油タンカーの待機が相次ぎ、保険料や用船料も急騰しました。欧州ガス価格は50%以上上昇し、アジアのLNG価格指標JKMも69%上昇するなど、市場は即座に反応しました。円相場にも圧力がかかり、日本の輸入コストを押し上げています。
日本経済への影響
こうした市場の変動は、日本国内でもすでに影響を及ぼし始めています。ガソリン価格は再び上昇傾向にあり、輸入コストの増加は食品価格など生活必需品のインフレ圧力を高める可能性があります。さらに、円安が進行すればエネルギー輸入コストは一段と増加し、日本の家計に追加的な負担をもたらすことになります。
構造的なエネルギー依存
日本は世界でも特にエネルギー輸入依存度が高い国の一つです。原油輸入の90%以上を中東に依存しており、その大半がホルムズ海峡を通過しています。このため、この海上輸送ルートの混乱に対して極めて脆弱です。LNGについては供給源の多様化が進んでいるものの、世界市場で取引される商品である以上、いずれかの地域で供給が途絶えれば価格ショックは世界中に波及します。日本は欧州や中国と比べてLNG備蓄量も比較的少なく、約3〜4週間分にとどまっています。
化石燃料投資の拡大
日本のエネルギー政策における投資配分を見ると、依然として化石燃料への支援が大きく偏っています。SFOCの分析によると、日本の公的金融機関による海外エネルギー事業への支援は、再生可能エネルギーよりも化石燃料に大きく傾いており、化石燃料関連への融資額は再生可能エネルギーの約3倍に達している。日本は2013年から2024年までの間に海外の石油・ガスプロジェクトへ約930億ドルの公的融資を提供してきました。一方、同期間に海外の再生可能エネルギー事業へ提供した融資は約245億ドルにとどまっています。
また、ロシアによるウクライナ侵攻後、日本政府は国内のエネルギー価格高騰を抑えるため、電気料金補助などに累計約5兆円の公的資金を投じています。こうした支出は、化石燃料価格の変動に日本経済が依然として大きく左右されていることを示しています。
国際的な教訓
欧州連合(EU)は2022年のロシアによるウクライナ侵攻を受け、「REPowerEU」戦略を通じて省エネルギーと再生可能エネルギーの導入を加速しました。その結果、EUはわずか3年でロシア産ガスへの依存度を45%から19%へと削減しました。この事例は、輸入燃料への依存そのものを減らすことが、エネルギー安全保障の強化につながることを示しています。
政策提言
SFOCは、日本のエネルギー安全保障を強化するため、以下の政策対応を提言しています。
・公的金融機関によるエネルギー投資の地政学的リスク評価の強化
・新規LNGインフラおよび長期化石燃料契約の経済合理性の再検討
・太陽光や洋上風力など国内再生可能エネルギーへの投資加速
・輸入化石燃料への依存を低減する長期的なエネルギー安全保障戦略の策定
SFOC(Solutions for Our Climate)について
SFOC(Solutions for Our Climate/気候ソリューションズ)は、地球の平均気温上昇を1.5℃以内に抑えるというパリ協定の目標に基づき、温室効果ガスの最も効果的な削減を目指して2016年に韓国で設立された気候変動対策を専門とする非営利団体です。「世界的な脱化石燃料と再生可能エネルギーへの移行を加速させる」というミッションのもと、私たちは気候危機への対応において最も緊急性の高い課題を継続的に特定し、拡大していくことで、様々なステークホルダーと協力し、現実的な変化を促しています。
プレスリリースに関するご質問、およびその他お問い合わせに関しましては以下までご連絡ください。
Mobile:070-4718-8234
Email:andrea.leung@forourclimate.org
担当:リョン アンドレア
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