分析によると、日本の金融機関はLNG運搬船向けプロジェクトファイナンスの4分の1超を担う一方、多くが海外事業者や環境影響評価が不十分な案件を支援
2026年6月24日(東京)— 新たな報告書により、日本の金融機関がLNG運搬船向け融資において世界最大の資金供給者であり、世界のプロジェクトファイナンスの4分の1超を占めていることが明らかになった。一方で、それに見合う環境デューデリジェンスの要件は整備されていない。
Solutions for Our Climate(SFOC)が発表した最新の報告書によると、日本の金融機関5社(三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友銀行(SMBC)、三井住友トラスト・ホールディングス、みずほフィナンシャルグループ、山口フィナンシャルグループ)は、2020年から2025年の間に、世界のプロジェクトレベルにおけるLNG(液化天然ガス)運搬船融資総額の約26.9%を占め、その額は計17.7億米ドルに上ることが明らかになりました。
特にMUFGは単独で世界最大の12.8%を占めており、次いでSMBC(8.5%)、三井住友トラスト(2.7%)、みずほ(1.8%)、山口FG(1.0%)の順となっています。
また、日本の銀行による融資シェアと日本の船主が受け取る割合との間には17.7ポイントの乖離があり、日本の融資の大半が海外の船主およびオペレーターを支えていることが示された。
さらに、LNG運搬船に関する金融リスクは日本の金融システム全体に広がっている。2021年から2024年にかけて、34の日本の金融機関がLNG船主に対し7億6,100万ドルを供給し、世界全体の8.5%を占めた。加えて、地方銀行や中小金融機関も関与していることが確認された。
こうした市場における優位性にもかかわらず、3大メガバンクはいずれもLNG輸送を含む中流ガスインフラに対する除外方針を設けていない。また、3行はいずれも2025年3月にネットゼロ・バンキング・アライアンスから脱退している。
日本の金融機関が資金提供するLNG運搬船は、コーラルトライアングル、メキシコ湾、モザンビーク海峡、ホルムズ海峡といった生態学的・地政学的に重要な海域を航行しているが、プロジェクトレベルでの環境影響評価は実施されていない。SFOCのライフサイクル排出量評価によると、日本の船主が保有する船隊だけで年間約20億8,400万トンのCO₂換算排出をもたらしており、これは米国の年間総排出量の約3分の1に相当する。
日本がLNGサプライチェーンにおいて大きな役割を担っていることを踏まえ、SFOCは日本の金融機関に対し、2026年の株主総会シーズンに向けて環境・社会面のセーフガードを強化し、説明責任のギャップを解消するよう求めている。主な提言は以下の通り。
LNG輸送に対し、プロジェクトファイナンスの条件として環境影響評価(EIA)を義務付け、船舶が不可欠な場合はライフサイクル全体の影響を評価すること。
長期的な化石燃料需要を固定化する中流ガスインフラ(LNG運搬船を含む)への資金供給を制限すること。
LNG運搬船の供給重大な財務リスクを踏まえ、資本配分を見直すこと。
気候および生態系への影響が十分に評価・対応されるまで、LNG運搬船をグリーンおよびトランジション金融の対象から除外すること。
海洋生物多様性の保護および沿岸コミュニティの権利を、デューデリジェンスおよび投資判断に組み込むこと。
Solutions for Our Climate(SFOC)ミッドストリームガス・民間金融リサーチャー ビビエ遠藤 礼名
「 MUFGとSMBCは世界のLNG運搬船融資の5分の1以上を占める一方、これらは環境・社会デューデリジェンスの枠組みから大半が外れており、重大な説明責任の空白が生じています。LNG運搬船は単なる輸送手段ではなく、脆弱な海域を通る重要なインフラです。国際的にもリスク精査が進んでおり、仏BNPパリバなど6機関がモザンビークLNG関連の船への融資見送りを決定したほか、今年4月には韓国の公的金融によるデューデリジェンス欠如に対し、SFOCが初のOECD NCP異議申し立てを行いました。 日本にも同様の国際基準が適用されるべきです。日本の金融機関や船会社が今年の株主総会を迎えるにあたり、本調査結果をふまえ、安全対策の強化や説明責任の空白解消に向けた実効性のある一歩を踏み出すことを期待します。」
以上
SFOC(Solutions for Our Climate)について
SFOC(Solutions for Our Climate)は、地球平均気温上昇を1.5℃以内に抑えるというパリ協定の目標のもと、温室効果ガスの最も効果的な削減を目指して、2016年に韓国で設立された気候変動対策を専門とする非営利団体です。
「世界的な脱化石燃料と再生可能エネルギーへの移行を加速させる」というミッションのもと、私たちは気候危機への対応において最も緊急性の高い課題を継続的に特定し、その取り組みを拡大していくことで、多様なステークホルダーと連携しながら、実質的な変化を促しています。
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担当:リョン アンドレア
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