2026年1月8日(東京) 気候ソリューション(Solution for Our Climate: SFOC)の新たな報告書によると、日本の主要海運会社は液化天然ガス(LNG)運搬船の船隊拡大を続ける中、法的・規制的・財務的リスクの増大に直面しています。この分析は、LNG輸送への長期依存に伴うリスクを概説した報告書「No Room for More – LNG 海運拡張による気候・金融リスク」を日本の文脈に基づいて補足するものです。
世界的な LNG 運搬船の急速な建造は、国際的な気候目標との整合性を欠く気候不可と見なされる傾向が強まっています。この分野だけで年間最大12億7,000万トンのCO₂を排出する可能性があり、さらにガス採掘や消費に伴う追加排出も引き起こします。国際的な監視が強化される中、LNG輸送に携わる日本の海運会社は、船隊拡大に伴う長期的な財務リスクと環境リスクについて、より厳しい局面に直面しています。
気候訴訟が世界的に加速する中、企業が直面する法的リスクが高まっています。これまでに気候変動の影響に対する損害賠償請求訴訟は68件提起され、そのうち約54%がエクソンモービル社やシェル社、シェブロン社などの化石燃料企業を対象としています。この流れは企業に限られたものではありません。日本では、450人以上の国民が国を相手取り、気候変動対策が不十分であるとして国家賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起しました。原告らは、日本政府の温室効果ガス削減目標がパリ協定の1.5℃目標と整合しておらず、「国民の生命や生活を脅かしている」と主張しており、国家の気候目標そのものが司法の場で問われる段階に入ったことを示しています。さらに、世界各国の裁判所も、企業の直接的な事業活動を超えた気候被害に対する企業責任を検討する姿勢を強めています。画期的な「Lliuya v. RWE AG 訴訟」は、大きな環境負荷を持つ企業が事業を展開していない地域で発生した気候影響についても責任を問われる可能性を示しました。こうした文脈において、さらなる化石燃料拡大を可能にする「浮体インフラ」として機能するLNG運搬船が、新たな法的措置の対象として浮上しつつあります。
2023年、国際海洋法裁判所(ITLOS)は、温室効果ガス排出を「海洋環境の汚染」に分類し、日本を含む締約国がそのような汚染を防止・削減する義務を負うことを確認する勧告的意見を発表しました。法的拘束力はないものの、この意見は国内規制の根拠を強化し、政府が企業による気候変動関連の海洋被害への関与を防止することへの社会的要請を裏付けています。世界有数のLNG船保有国である日本においては、海運事業者に対する監督強化につながる可能性があります。
また、ESGと人権問題は企業のさらなる法的リスクにつながる要因となります。例えば、モザンビークLNG事業は深刻な人権侵害と環境破壊が関与していると指摘されており、すでにイギリスやオランダ政府は国家のリスク回避のため資金援助の中止を発表しました。日本の企業と公的金融機関が土地の収奪、強制退去、暴力、生態系破壊などの疑惑が文書で立証されているプロジェクトにも関わらず、それらに関連するLNG輸送を継続する場合、投資家、メディア、そして一般市民からの批判が激化する可能性があります。その結果、ESG関連融資へのアクセスの制限、顧客による契約見直し、さらにはグリーンウォッシュの疑いがある場合、環境省、消費者庁、公正取引委員会などの規制当局による介入が生じる事態が想定されます。
金融リスクは広範な市場動向によって増幅されています。世界的にLNG運搬船の投機的受注が増加し、供給過剰、船舶賃料の下落、座礁投資のリスクが高まっています。エネルギー転換が加速する中、一部金融機関はLNG関連プロジェクトへの関与を見直しており、融資条件の引き締めや支援撤退の可能性が生じています。これは債務融資に依存する日本企業の船隊拡張に影響を及ぼしかねません。
本報告書は、日本の海運会社がこれらの複合的リスクに対処するためには積極的な対策が必要であると結論づけています。ライフサイクル排出量、間接排出量、先進技術を活用することで追加される排出量(enabled emissions)を含む包括的な排出量の情報開示の強化は、投資家の期待や新たな規制基準を満たすために不可欠となりつつあります。また、信頼性の高い科学的根拠に基づく脱炭素化計画の策定と、化石燃料拡大への依存を減らす低炭素輸送を可能にする代替手段への投資多様化が推奨されています。
世界的に法的・財務的・評判上の圧力が高まる中、LNG依存戦略の正当化は困難になりつつあります。日本の海運会社は、地球規模の気候変動対策の義務化、市場環境の変化、規制当局および投資家の要請水準の推移を考慮して、LNG中心の成長計画を見直す必要があります。
SFOC(Solutions for Our Climate)について
SFOC(Solutions for Our Climate/気候ソリューション)は、地球の平均気温上昇を1.5℃以内に抑えるというパリ協定の目標に基づき、温室効果ガスの最も効果的な削減を目指して2016年に韓国で設立された気候変動対策を専門とする非営利団体です。「世界的な脱化石燃料と再生可能エネルギーへの移行を加速させる」というミッションのもと、私たちは気候危機への対応において最も緊急性の高い課題を継続的に特定し、拡大していくことで、様々なステークホルダーと協力し、現実的な変化を促しています。
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担当:リョン アンドレア
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