サンタマルタ会議:化石燃料からの転換が「地政学的必然」となった瞬間
insights 2026-05-29

サンタマルタ会議:化石燃料からの転換が「地政学的必然」となった瞬間

サンタマルタ会議注目すべき5つの成果 

数字は、エネルギー転換の方向性がもはや揺るがないことを示している。2025年、再生可能エネルギーの容量は約50%増加した。2024年のエネルギー転換への投資は過去最高の2兆4000億ドルに達した。そしてホルムズ海峡での断続的な混乱は6000億〜1兆ドルにのぼる経済的損失をもたらすと推計されており、一つの事実を否定しがたいものにしている。化石燃料への依存を減らすことは、もはや気候変動上の要請にとどまらない。エネルギー安全保障と経済的レジリエンスの問題でもある。 

エネルギー転換は、後戻りできない段階に入った。問題は今や「どう実行するか」、そして「誰がそのプロセスを形成するか」だ。 

サンタマルタ会議は、まさにその問いに答えるために開かれた。 

 

何が起きたのか 

2026年4月24日〜29日、コロンビアとオランダの共催により、世界のGDPの約3分の1を占める57カ国が「化石燃料からの転換に関する第1回会議(TAFF)」に参加した。この会議は、約200カ国が化石燃料からの転換にコミットした2023年のCOP28(ドバイ)での歴史的な合意から直接生まれたものだ。その文言がベレンでのCOP30最終決定文書に盛り込まれなかった際、約60カ国の連合がその議題を独自に引き継いだ。 

サンタマルタ会議は、意図的に従来とは異なる形で設計された。新たな目標設定もなく、交渉による合意文書もない。代わりに設けられたのは、先進国・市民社会・先住民族・労働者・民間部門が既存のパリ協定上のコミットメントの実施に率直に向き合える、オープンな対話の場だった。 

会議の雰囲気は、慎重ながらも楽観的だった。参加者たちは、転換がすでに後戻りできない段階に入ったという認識で一致した。しかし深刻な構造的障壁は依然として残っており、緊迫感はかつてなく高まっている。 

 

注目すべき5つの成果 

  1. 【第2回会議の開催決定】次回は2027年、ツバルとアイルランドの共催で行われる。本会議はツバルで、事前会合はアイルランドで開催される予定だ。このプロセスは継続することが確定した。 

  2. 【常設調整グループの設立】転換を主導する国々の同盟・イニシアティブをつなぐ常設グループが、会議間の継続性を担う。COP30行動アジェンダ活動グループ4が主要な招集機関となる。 

  3. 【成果が国際的な気候プロセスに直接反映】会議報告書はCOP30議長国に送付され、ボン(6月8〜18日)でのUNFCCC6月気候会議(SB64)、ロンドン気候アクションウィーク、ニューヨーク気候ウィークへと引き継がれる。また、2028年に結論が出る見込みの第2回グローバルストックテイク(GST2.0)にも成果が反映される。COP33のアジア開催が見込まれる中、このタイミングは重要な意味を持つ。 

  4. 【3つの具体的なワークストリームの発足】各国は今後、以下の3分野で実質的な協力作業を進める。①「ロードマップ」(新設の科学パネルと連携しながら、NDCに沿った転換計画を策定)、②「マクロ経済・金融アーキテクチャ」(債務・財政依存・投資フローへの対処)、③「生産国・消費国の協調」(脱炭素化された貿易に向けた化石燃料生産国と消費国の連携調整)。 

  5. 【新たな科学パネルの設立】「グローバルエネルギー転換のための科学パネル(SPGET)」が正式に発足。各国が1.5℃目標に沿ったロードマップを構築し、前進を阻む法的・財政的・政治的障壁を取り除くことを支援する。 

 

日本にとって何を意味するか 

日本はサンタマルタ会議を、明確なシグナルであり、同時に好機として受け止めるべきだ。 

世界最大級のLNG・石炭・石油の輸入国として、日本は会議が転換加速の核心的根拠として挙げた地政学的混乱に最も直接さらされている国の一つだ。エネルギー安全保障と気候変動対策は、今や同じ論拠の上に立っている。 

GST2.0が地域の気候プロセスに連動し、COP33のアジア開催が見込まれる中、日本は地域における重要な局面の中心に位置している。積極的な関与は、気候上の責任であるだけでなく、経済・安全保障上の利益にも直結する。

日本は「生産国・消費国の協調」ワークストリームを通じ、その招集力と開発金融機関を活用して、東南アジアの化石燃料依存国に向けた実行可能な転換の道筋を示すことができる。 

 

今後の展開 

今後のカレンダーには、サンタマルタの勢いが続くかどうかを試す重要な局面が控えている。 

  • 6月気候会議(SB64)・6月8〜18日・ボン。UNFCCC補助機関会合は、日本がTAFF協議に参加し、COP31に向けた議長国主導の実施サマリーに貢献できる最初の機会だ。 

  • 国連総会ハイレベルウィーク・9月8〜22日・ニューヨーク。化石燃料依存・地政学的脆弱性・クリーンエネルギーへの経済的論拠を、公の場で明示的に結びつけるための、より重要なプラットフォームとなる。 

  • COP31・11月9〜20日・アンタルヤ。真価が問われる最終局面だ。アジア・中東・欧州・南北アメリカにまたがる主要経済国が、どれだけ実質的に準備段階から関与するかは、気候リーダーシップの信頼性を直接示す試金石となる。そしてより即座の問いも浮かび上がる。記録的な投資と容量を、各国政府が協調的かつ持続可能な実施へと転換する備えがあるかどうかだ。 

エネルギー安全保障上の衝撃は、すでに現実のものとなっている。転換のインフラは構築されつつある。残るのは、両者を結びつける政治的意志だ。

COP31こそ、その意志が集合的かつ公の場で試される舞台となる。 

 

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